多汗症とは
汗は体温調節をはじめとして身体の機能維持に重要な役割を担っています。汗は出すぎるのも病気、出なさすぎるのも病気とされています。中でも気温や運動などに関係なく、大量の汗が出てしまい日常生活に支障を来す病気は「多汗症」と呼ばれています。
多汗症には原因のあるもの(続発性多汗症)と、明らかな原因がないもの(原発性多汗症)があります。前者には、更年期症候群に伴うもの、高齢など体力の衰えに伴うもの、精神的緊張に伴うものなどがあります。時に悪性リンパ腫など重大な病気の症状であることもあります。後者は身体の特定の部位だけに多くの汗が出るもの(局所多汗症)と、全身に多く汗が出るもの(全身性多汗症)があります。
以下では局所多汗症についてお話をしたいと思います。
局所多汗症とは
局所多汗症で汗をかく部位は、(1)頭・顔、(2)脇の下、(3)手のひら、(4)足の裏とされています。10代頃から症状が現れることが多く、羞恥心から学校生活・社会生活に支障を来たしたり、うつなどを併発することもあります。
主な治療法として、塗り薬、飲み薬、注射薬、手術、電流を流す方法(イオントフォレーシス)などがあります。最も簡便なのは塗り薬ですが、従来保険診療で使える薬剤がなく、一部の皮膚科などで塩化アルミニウムなどのお薬を自家調剤し自費診療で治療されたりしてきました。保険診療で手軽に使える薬がなかったことで、局所多汗症に対する治療の存在が広く認知されず、悩んでおられた方も多いと推察されます。
こうした状況がここ数年で大きく変化しており、エクロックゲル(2020年11月26日発売)、ラピフォートワイプ(2022年5月23日発売)、アポハイドローション(2023年6月1日発売)と、保険診療で使える外用薬が立て続けに販売開始されました。
エクロックゲル、ラピフォートワイプは脇の下の多汗症(腋窩多汗症)、アポハイドローションは手のひらの多汗症(手掌多汗症)の治療薬です。2024年2月現在では足の裏の多汗症に対する保険適応の治療薬が未発売です。今後上記の薬剤が応用されたり、新たな薬剤の認可が期待される状況です。
志木ファミリークリニックでは局所多汗症に対して、エクロックゲル、ラピフォートワイプ、アポハイドローションのいずれも使用可能です。また更年期症候群に対するプラセンタ治療、高齢など体力の衰えに伴う多汗症に対する漢方薬治療、精神的緊張に伴う多汗症に対する薬物治療などもご相談可能です。
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