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アルコール依存症外来

「お酒を減らしたい」「お酒をやめたいけれど、自分だけでは難しい」「家族の飲酒について相談したい」など、アルコールに関するお悩みをご相談ください。

当院では、アルコール依存症について、減酒から断酒まで、患者さんの状態や治療目標に応じた診療を行っています。

一般内科・精神科の診療にも対応しているため、アルコールによる身体の病気や、不眠・不安・抑うつなどの精神面の問題についても、あわせて診療できます。

また、アルコール依存症の患者さんでは、飲酒による体力低下や精神的な問題などから通院が難しくなることがあります。当院では、通院が困難な方に対する訪問診療にも対応しています。

一方で、入院による断酒治療や専門的な心理社会的治療などが必要な場合には、アルコール依存症の専門医療機関と連携して治療を行います。


アルコールがもたらす病気

アルコールの飲み過ぎは、さまざまな身体的・精神的な病気につながります。

アルコールは肝臓だけでなく、脳、心臓、膵臓など多くの臓器に影響を及ぼします。また、飲酒量が増えるほど、さまざまながんのリスクも高くなることが知られています。

代表的なものとして、以下のような病気があります。

  • 脳・こころ:アルコール依存症、認知機能障害、うつ、不安障害など
  • 心臓・血管:高血圧、不整脈など
  • 口腔・咽頭・食道:口腔がん、咽頭がん、食道がんなど
  • 大腸:大腸がんなど
  • 肝臓:アルコール性肝障害、肝硬変、肝臓がんなど
  • 膵臓:膵炎、糖尿病など

また、一般に女性は男性よりも少ない飲酒量でもアルコールの影響を受けやすいことが知られています。

アルコールによる健康への影響は、飲酒量だけでなく、飲酒頻度、年齢、性別、体質、既往症などによっても異なります。


アルコール依存症とは

アルコール依存症は、飲酒を自分でコントロールすることが難しくなり、心身や生活に問題が生じても飲酒を続けてしまう病気です。

単に「お酒が好き」「お酒をたくさん飲む」ということとは異なります。

例えば、

  • お酒を減らそう、やめようと思ってもやめられない
  • 飲み始めると予定していた量より多く飲んでしまう
  • 飲酒したいという強い欲求がある
  • お酒を飲まないと落ち着かない
  • 飲酒のために仕事や家庭生活に支障が出ている
  • 身体の病気を指摘されても飲酒を続けている
  • お酒が切れると手が震える、汗が出る、眠れないなどの症状が出る

といった状態がみられることがあります。

アルコール依存症は誰でも発症する可能性があり、本人が自分の飲酒を問題として認識しにくいこともあります。

そのため、ご本人だけでなく、ご家族からの相談が受診のきっかけになることもあります。


このような方はご相談ください

「自分がアルコール依存症なのかわからない」という段階でも構いません。

  • 飲酒量を減らしたい
  • お酒をやめたいが、自分だけでは難しい
  • 毎日お酒を飲んでいる
  • 以前より飲酒量が増えている
  • 飲み始めると止まらなくなる
  • 家族から飲み過ぎを指摘されている
  • 健康診断で肝機能異常を指摘された
  • アルコールによる高血圧、糖尿病、膵炎などを指摘されている
  • お酒を飲まないと眠れない、落ち着かない
  • 断酒しようとすると手の震えなどが出る
  • 以前断酒したことがあるが、再び飲酒してしまった
  • 家族の飲酒について相談したい

このような場合には、一度ご相談ください。


アルコール依存症のスクリーニング検査:AUDIT

飲酒に関連する問題が疑われる場合には、**AUDIT(Alcohol Use Disorders Identification Test)**などのスクリーニング検査を行います。

AUDITは、飲酒量や飲酒行動、アルコールによる問題などについて尋ねる10項目の質問からなる検査です。

一般的な目安として、点数が高くなるほどアルコールによる問題が存在する可能性が高くなります。

AUDITスコア一般的な目安
0~7点低リスク飲酒の範囲と考えられます
8~14点飲酒量や飲酒方法について見直しが必要と考えられます
15点以上アルコール依存症を含めた、より詳しい評価が必要です

ただし、AUDITの点数だけでアルコール依存症と診断することはできません。

飲酒に伴う身体的・精神的な問題、家庭や仕事への影響、ご家族から得られる情報なども含めて、総合的に評価します。


アルコール依存症の診断

アルコール依存症の診断では、飲酒の状況や身体・精神面への影響などを総合的に評価します。

診断の考え方の一つとして、ICD-10では以下のような項目が挙げられています。

項目内容
渇望飲酒したいという強い欲望や切迫感がある
飲酒行動のコントロール困難飲酒の開始・終了や飲酒量をコントロールすることが難しい
離脱症状飲酒をやめたり減らしたりすると、手の震え、発汗、不眠などの症状が出る
耐性の増大以前と同じ効果を得るために、飲酒量が増えていく
飲酒中心の生活飲酒やその影響からの回復に多くの時間を費やし、仕事や家庭など本来の生活がおろそかになる
有害な使用に対する抑制の喪失身体的・精神的・社会的な問題が生じているにもかかわらず飲酒を続ける

これらの項目のうち複数が一定期間にわたって認められる場合、アルコール依存症が疑われます。

実際の診断では、これらの項目だけでなく、現在の飲酒状況、身体疾患、精神症状、生活環境などを含めて総合的に判断します。


アルコール依存症の治療

アルコール依存症では、身体とこころの両方を診療することが重要です。

アルコール依存症の治療は断酒が原則です。以下の場合には減酒が目標となることもあります。

  1. 軽症の依存症で明確な合併症を有しないケースでは、飲酒量低減も治療目標になりえます。
  2. 断酒を目標とすべきアルコール依存症患者さんで断酒の説得に応じない場合は、中間的な選択肢として飲酒量低減を目標とします

どちらを目標とするかは、アルコール依存症の程度、身体疾患の有無、これまでの飲酒歴、離脱症状の有無、患者さんご自身の希望などを踏まえて検討します。

治療には、

  • 飲酒量の管理
  • 生活習慣の見直し
  • 精神面への治療
  • 薬物療法
  • 心理社会的な支援(認知行動療法、集団精神療法、動機づけ面接法、家族療法など)

などを組み合わせます。


減酒を目標に治療することもあります

アルコール依存症の治療では断酒が重要な治療目標となりますが、すべての方が最初から完全な断酒を受け入れられるとは限りません。

「お酒をやめるのは難しいけれど、まずは飲む量を減らしたい」

「毎日飲んでいるが、まず休肝日を作りたい」

「健康診断で異常を指摘されたので、飲酒量を減らしたい」

という方もいらっしゃいます。

当院では、患者さんの状態を評価したうえで、減酒を治療目標として診療することがあります。

実際に、当院で治療を継続しながら飲酒量を減らし、長期にわたって減酒を維持できている方もいらっしゃいます。

最初から完全な断酒を目指すことが難しい場合でも、まず飲酒量を減らすことから治療を始め、健康状態や生活の改善につなげていくことができます。

一方で、減酒だけでは十分な改善が得られない場合や、患者さんご自身が断酒を希望される場合には、断酒を目標とした治療を検討します。


薬物療法

アルコール依存症の治療では、必要に応じて薬物療法を行います。

断酒を目標とする場合には、断酒を補助する薬剤などが使用されることがあります。

また、減酒を目標とする場合には、飲酒量の低減を目的とした薬剤を使用することがあります。(断酒を目標とする場合には、嫌酒薬(ジスルフィラム、シアナミド)、断酒補助薬(アカンプロサート)が使用されます。減酒を目標する場合には、飲酒量低減薬(ナルメフェン)が使用されます。)

ただし、薬を服用するだけでアルコール依存症が治るわけではありません。

患者さんの飲酒状況や身体・精神状態、治療目標などを確認したうえで、薬物療法が適切かどうかを判断します。


アルコールによる身体の病気も一緒に診療します

アルコール依存症の患者さんでは、肝臓だけでなく、血圧、血糖、脂質、膵臓など、さまざまな身体の問題を合併することがあります。

当院では一般内科の診療も行っているため、アルコールの問題だけを切り離して診療するのではなく、身体の病気についても一緒に診療できます。

例えば、

  • 肝機能障害・アルコール性肝障害
  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 脂質異常症
  • 高尿酸血症
  • 膵炎
  • 栄養状態の悪化

などについても必要に応じて評価・治療します。

また、不眠、不安、抑うつなどの精神面の問題についても診療します。


通院が難しい方には訪問診療も行っています

アルコール依存症の患者さんの中には、飲酒による体力低下や精神的な問題、生活環境などから、医療機関への通院そのものが難しくなる方もいます。

当院では、アルコール依存症の患者さんに対する訪問診療にも対応しています。

通院が困難な場合には、ご自宅や施設へ訪問し、アルコールの問題だけでなく、

  • 肝機能障害などの身体疾患
  • 高血圧や糖尿病などの慢性疾患
  • 栄養状態
  • 不眠や不安などの精神症状
  • 日常生活上の問題

なども含めて診療します。

外来通院が難しくなった場合にも、訪問診療という形で医療とのつながりを維持できることは、当院のアルコール依存症診療の特徴の一つです。


断酒治療が必要な場合は専門医療機関と連携します

当院では減酒を目標とした治療を継続することができますが、すべてのアルコール依存症の治療を当院だけで完結できるわけではありません。

例えば、

  • 入院による断酒治療が必要な場合
  • 強い離脱症状が予想される場合
  • 過去に重い離脱症状やけいれんなどを起こしたことがある場合
  • 集中的な心理社会的治療が必要な場合
  • 専門的なカウンセリングや集団療法が必要な場合
  • 断酒会やAAなどの自助グループを含めた専門的な支援が必要な場合

には、アルコール依存症の専門医療機関などをご紹介します。

当院には、院内に断酒会やアルコール依存症専門のカウンセラーなどの専門プログラムはありません。

そのため、当院で継続して行える診療は当院で行い、専門的な治療が必要な場合には適切な医療機関・支援機関と連携するという形で治療を行っています。


急に断酒する場合には注意が必要です

長期間、多量の飲酒を続けている方では、飲酒を急に中止することでアルコール離脱症状が起こることがあります。

軽いものでは、

  • 手の震え
  • 発汗
  • 不眠
  • 不安
  • 吐き気
  • 動悸

などがあります。

重症になると、幻覚やけいれん、意識障害などが生じることもあります。

そのため、飲酒量が多い方や、過去に断酒した際に離脱症状が出たことがある方は、自己判断で急に断酒せず、まず医療機関にご相談ください。

離脱症状の程度やこれまでの経過によっては、外来ではなく専門医療機関での治療や入院が必要になる場合があります。


ご家族からのご相談もお受けします

アルコール依存症では、ご本人が自分の飲酒を問題として認識していないこともあります。

ご家族から、

「何度言ってもお酒をやめてくれない」

「飲酒のために家庭生活に支障が出ている」

「本人を病院に連れて行きたいが、受診してくれない」

といった相談を受けることもあります。

ご本人の受診が難しい場合でも、まずはご家族からご相談ください。

これまでの飲酒状況や生活への影響などを伺い、受診につなげる方法や、必要に応じて専門医療機関への紹介について一緒に考えます。


アルコール依存症は「意志の弱さ」の問題ではありません

アルコール依存症は、単に「本人の意志が弱いからお酒をやめられない」という問題ではありません。

飲酒を繰り返すことでアルコールへの依存が形成されると、自分の意思だけで飲酒をコントロールすることが難しくなります。

だからこそ、早い段階で医療につながることが大切です。

「まだアルコール依存症かわからない」

「いきなり断酒する自信がない」

「まずは飲酒量を減らしたい」

という段階でも構いません。

お酒について気になっていることがあれば、一度ご相談ください。

当院では、減酒から断酒まで患者さんの状態や目標に応じて診療し、一般内科・精神科の診療も含めて総合的に対応します。

また、通院が難しい方には訪問診療にも対応しています。

必要に応じて専門医療機関とも連携しながら、その方に合った治療を一緒に考えていきます。